加速度脈波計とはどのような測定器なのかご説明します。

加速度脈波計は、現代医学では、末梢循環の血流量を測定して、血流の評価をする精密計器です。
この計器は、主に右手の示指の先端にセンサーを当て、指先の血流量をコンピューターの画面に「脈波型」として、Aタイプの脈波からGタイプの脈波の7段階のレベルに基本的に分類します。
それによって、末梢循環のレベル評価をします。
一般的には、末梢循環が悪いと言っても、イメージは”血行が良くない!”という感じです。
実は、末梢循環にはレベルがあるということです。
そのレベルを正確に把握するわけです。
たとえば、Dレベルの血流状態で病気の症状があるならば、Cレベルの血流に改善し、CレベルからBレベルの血流状態に改善してあげれば良いのです。
この様に段階を経て血流を改善していく治療を行うと、いろいろな病気や症状、痛みに効果があります。
当院では、このレベルを正確に把握して、このレベルを改善する事が可能な脈診・鍼技術力を研究し確立しました。

当院の脈診・鍼治療と加速度脈波計との研究

当院では、この加速度脈波計(APG)を20年前から使用して、治療前と治療後の鍼灸治療の効果判定と脈診の効果を証明するために用いております。
それは、私自身は手首の脈を診断させて頂ければ『どこが悪いのか?』『どこを治療したら良いのか?』『どの位、治療をしたら治るのか?』『治療前と治療後では、どの位治療効果があったのか?』・・・
など、脈診で知ることができますが、それらの情報を”患者さん”に目で見て、説明してあげたくて、この加速度脈波計の分析と数値の解読の研究を進めてきました。

【当院で使用している機種名は、MISAWA・PRECARE GRAPH・APG-200】

A波型・B波型・C波型・D波型・E波型・F波型・G波型の末梢循環の評価とチェックポイントをご説明します。

【A波型】の評価:

治療前に測定を行って、Aタイプの脈波型の人は末梢循環が良好です。
このA波型は、年齢的には若い人のレベル評価です。

このチェックポイントの目標数値は、角貝が28年間の症例を記録して研究した結果に基づいた、血流の最も理想的な数値です。

チェックポイント
波型全体の評価はAであっても、B波(B点)の数値が+60±5が理想です。
たとえばB波(B点)の数値が+70〜85は血管の拡張性を現します。

この+70〜85の数値は治療の対象となります。
この数値を+60にコントロールすることが治療目標です。
東洋医学でのB波(B点)の評価は、腎・膀胱の衰えを現します。
この腎と膀胱の気血の衰えは、腰痛症、背中が凝る、膝痛、生理不順、冷え性、不眠症、肩の深い所が凝る、頭痛、むくみなどの症状の原因となります。

これらの症状を治したり、楽にするために、腎と膀胱の働きを良くすることが治療の目的です。
腎と膀胱の気血の働きが理想的には、B波(B点)の数値で+60前後であることが目標です。

この時の脈診に於いても、腎と膀胱の脈は充実した良い脈となります。

【B波型】の評価:

治療前に測定を行って、Bタイプの脈波型の人はAより末梢循環が低下しますが、基本的には良いグループに入ります。
チェックポイント
脈波型全体の評価はBであっても、B波(B点)の数値が、+60±5が目標数値です。
Bタイプの脈波型で最も大切なチェックポイントは、C波(C点)の数値が-15〜-5にコントロールする事が治療目標です。

このC点の数値は、静脈還流と関係して、心臓から出た血液が身体の末端に送られて、その血液は心臓に帰る圧力と関係します。

このC点の数値が多くなると、末梢から心臓に戻る力が衰えているために、新陳代謝、消化器系の働きが衰える原因となります。
たとえば、治療対象のケースは、C点の数値が-50〜-25の値になります。
この数値になると、背中全体の凝り、肩こり、腰痛症、頭痛、めまい、胃腸障害、食欲不振、膝や足首の痛み、などの症状が現れはじめます。

現代の若い人の多くは、B+X波型

B+X波型とは、自律神経の交感神経と副交感神経のアンバランスによる交感神経の異常亢進(緊張)による脈波型です。
このB+X波型は、ストレスや睡眠不足、過度の緊張状態が長く続いたり、仕事上の肉体の疲労、夜遅い食事、運動不足、生来胃腸が弱い体質の人、肩こり体質の人に現れます。

【B+X波型を現す人の症状】
肩の真ん中がパンパンに張って痛む。
首の後ろが凝って、頭痛がよくする。
頭全体が重く、集中力がない。
朝、起きるのが辛い。食欲がない。顔に吹き出物。
お腹の真ん中が痛み、お腹が緊張している。
背中全体がパンパンに凝って痛む。
夜、なかなか眠れない。睡眠が浅く、すぐ目覚めてしまう。
腰の骨には異常がないが、腰痛が辛く、足腰が冷えてむくむ。
首の後ろが凝ってくるとめまいがする。
疲れがなかなか取れない。下痢と便秘。
脈拍数は90〜100回と頻脈となる。

【B+X波型を現す人の治療法】
B+X波型は交感神経の異常な緊張であります。この時の治療法は、鍼を極めて浅く打つのが基本です。

皮膚の表面に自律神経系機能の働きがあります。
また、毛細血管が多く分布しています。自律神経系と毛細血流は相関性があります。
この皮膚の表面の浅い所、ツボの浅い所に治療を加えると効きます。
目的は毛細循環の改善です。

首の後ろ、後頭部のツボ、肩の真ん中のツボ、背中の中心の両側にあるツボ、腕の付け根にあるツボを使うと効果的です。

C波型・D波型のレベルから末梢の血流は低下しはじめる。このレベルがターニングポイント。

C波型とD波型とでは、C波型の方が循環レベルは良い波型です。
この違いは、C点の数値が良い方がC波型です。D波型になると、C点の数値が-30〜-55まで降下して多い値になります。
C波型、D波型は年齢的には中年の方に多く現れます。

このC波型とD波型の最もチェックするポイントは、D波より後方に出現するスモール・e波・f波・g波のウェーブが出ているかどうかのチェックです。

※このウェーブのチェックは、数値ではなく目で確認。
このスモール・e波・f波・g波は、1991年に出版した『脈力気力健康全書:ベースボール・マガジン社刊』(著:角貝釀計)のP267〜285に詳しく説明してあります。
このスモール・e波・f波・g波の論文は、第19回、加速度脈波・脈波研究会(東京医科大学に於いて)にて角貝が初めて発表しました。
C波型・D波型の血流のレベルを改善して、B波型にステップアップするためには、このスモール・e波・f波・g波のウェーブを出現させる治療を行うことです。

ここのウェーブチェックが末梢循環の改善には、極めて重要です。

E波型・F波型・G波型のレベルは、極めて末梢循環が低下したレベルです。

このE・F・G波型を現す血流の人は、末梢循環が極めて悪い血流です。
このレベルは、動脈の硬化が進行していることも考えられます。
病名では、高血圧症・動脈硬化症・心臓血管疾患・脳血管疾患・末梢循環障害・糖尿病・老化性疾患などです。

E・F・G波型の改善は、スモール・e波・f波・g波のウェーブを出現させる治療を加えて、改善する事が絶対的に必要なポイントとなります。

 
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