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伝統的な東洋医学の基本概念は「気」からなっています。「気」は身体を流れる基本的なエネルギーと考えられています。
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人体の中を流れる「気」は、14本の異なる働きからなる「経絡(けいらく)」からなっております。この縦に貫く経絡(気の通路・ネットワーク)上に「ツボ」があります。
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主なツボは、361ヶ所あります。
この経絡上の大切なツボを刺激することによって治療効果をあげます。また、この経絡の気を流すことが治療家の目的です。 |
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この経絡は、内臓である五臓六腑と連結しています。東洋医学では、内臓が衰えて「気」を取り込めなくなると病気になると考えます。経絡やツボの気が流れると体内に気が取り込めるわけです。
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体内に取り込まれた気は、生体の機能を健全に保つ最も大切な役目を果たします。
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また、気の一部は液体になって身体の構造(細胞、臓器、器官)を形作ります。この気、血、水の量を保つことが、元気で長生きするための秘訣というわけです。
それには、内臓の働きを衰えさせないよう養生する事が不可欠になります。 |
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東洋医学(鍼灸)は、このような生命の考え方を基にして組み立てられます。
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消化吸収を高めて、食物の「気」を自分の気に転化させる作業を助ける治療が基本となります。
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脈診流鍼灸治療は、東洋医学(漢方)の理論をベースに、脈診で身体の異常を診断したり、その異常を正常なレベルに改善します。
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この脈診では、脈は「病脈(びょうみゃく)」と「健康脈(けんこうみゃく)」に大別出来ます。
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病脈は、身体の異常を現し、回復力、治癒力、免疫力の低下、病気から身体を回復させる力が低下していることを手首の脈の拍動に示しています。
この身体の回復力の低下した状態を「病脈」としてチェックして、この病脈を鍼治療で「健康脈」に改善してあげることによって身体に本来備わっている治癒力、回復力、免疫力、炎症を取り除く消炎作用が働いたり、痛みを取り除く鎮痛作用が体内で作られ、痛みを取り除くメカニズムが働きだします。 |
この生命のメカニズムが最も発揮しやすい身体に脈を診ながら治療を進めて行くのが脈診流の鍼灸治療です。
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また、この手法によって病気を治したり、予防したり、元気な身体にするわけです。
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当院の脈診・鍼術での治療効果の判定は、客観的に加速度脈波計で治療前と後に記録して確実に改善をはかります。
臨床では的確に手首の脈の病脈を捕えて、鍼術で「正常な理想的な健康脈」に改善する技術力が脈診流鍼治療の力になるわけです。 脈診には、明確な基準があります。 その基準を指先感覚で”とらえる”ことが診断能力で大切なことなのです。 |
手首の脈診で、病気の予兆、前兆を知ることが出来ます。
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脈を診ることによって、病気になる前段階で予防したり、治したりすることが可能です。
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東洋医学では、「健康」と「未病(みびょう)」と「病気」の三段階に基本的に分けられます。
健康とは、完全な健康、未病とは完全な病気でもなく完全な健康でもない中間にある状態です。つまり、決定的な病名が付けられないが、症状がある段階です。この時点で治してしまうという考えです。 また、病気になりにくい身体にしたり、病気の芽の段階で摘み取ってしまうという考えです。 これを「未病を治す」といいます。 完全な病気になる前に、必ず身体には異常が現れています。この時点で異常を脈でチェックするわけです。 この脈でチェックを入れる方法は、長年の経験と臨床上の勘で病脈を判定します。この病脈にもレベルがあり、軽いレベルから極めて重症な病脈のケースがあります。 |
たとえば、本人の自覚症状はあまりなく、肩こりや腰痛症状、疲れやすい、食欲不振で来院して、脈を拝見してみると、極めて重症な脈を呈しているので現代医学の検査を受診してみると、悪性のポリープが早期発見出来たケースなどがあります。
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本人の自覚症状が現れる前に、手首の脈の拍動に微妙に異常を現します。人間の身体には、微妙な異常のサインを出すメカニズムがあります。
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また、病院の検査では全く異常はない。しかし、本人の「自覚症状」がなかなか取れないケースがあります。
その時、脈診で「病脈(びょうみゃく)」を判定して、鍼術で平常で理想的な良い脈に改善します。 すると、患者さんの「自覚症状」が楽になるケースを多く経験します。 |
脈を取る、脈を診る、お脈拝見について、どんなやり方なのかをご説明します。
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一般的には”脈を取る”というイメージは、心拍数を数えることがまずイメージされると思います。
たとえば、手首に指を当てて心拍数が1分間に70〜75回、心臓からの拍動を数えることが目的です。 この心拍数を数えることが、一般的な「脈を取る」時に使われております。 |
しかし、伝統的な東洋医学(脈診流・鍼専門)での脈診は、脈の心拍数だけを診ることが目的ではありません。
例えば、図をご覧下さい。手首に指を三本を横に並べて脈を診ます。 左右の手首で合計6ヶ所で内臓の五臓六腑を診ます。五臓六腑の機能の働きの弱りを診ます。これは、西洋医学での病名診断でなく、働きの弱りを診るのです。 例えば、右手首の示指の脈を沈めて、血管を押し込んで陰脈(いんみゃく)を診ます。 この右手首の示指の拍動が[細かく、弱い脈]は、肺臓の働き、機能が低下していると診ます。さらに、東洋医学での肺臓は、臓器だけを意味しません。 肺は、気を意味します。胸や肩、首や背中、腕、呼吸を意味します。したがって、肺の気血(きけつ)が弱く流れにくくなりますと、呼吸が浅く、息が深く入りづらくなり、胸や肩こり症状、肩こりから背中のこり症状、声が疲れると出にくくなります。 また、肺は、肌、皮膚を意味して肌の荒れ症状、肌のたるみ、くすみなど肌や皮膚のトラブルなどは、東洋医学では、肺の気血の弱りと考えます。 脈診・鍼治療では、腕の内側の肺経絡の気血の流れを良好にして、肩こり、背中のこり、胸のこり、腕のこりを取って肺の気血を流します。また、肺の気血を高めて、集中力やポジティブな身体にメンテナンス鍼治療を行います。 この様に、五臓の弱りを診て、腎(じん)が弱って腰の痛み、足のむくみ、足の冷え、生理不順、めまい、不眠、頭重、など症状の時は、腎を高める鍼治療を行います。 また、アンチエイジング、若返りに血流を高めてメンテナンス、若返り鍼治療を行います。 ここに漢方独自の脈の診方、診断法、治療法、予後の判定、養生法などと繋がりがあります。 |
東洋医学の独自の五臓六腑(各内臓の気)のバランスを脈診で診ることが出来ます。
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たとえば、肺臓(はいき)が衰えて、大腸の気が異常に亢進していないかなどのバランスを診ます。
このバランスが崩れると、風邪を引きやすくなり、肩こり症状が強くなり、背中が痛み、疲れが抜けなく、元気が出ない身体になってしまいます。 |
また、例えば足先や腰が冷える、足がむくむなどの下半身の症状と、頭がのぼせる、顔がほてる、肩こり、頭痛、めまいなどの上半身の症状が現れるケースがあります。
これは、下半身と上半身の気血の血流が悪いこと、アンバランスが考えられます。 脈診流・鍼専門では、上半身の肺(はい)、心(しん)と、下半身の肝(かん)、腎(じん)の気血の流れ、働きを高める治療を行い改善します。 |
最近のケースで、疲れやすい体質、疲れが取れないと訴えるケースが多く見られます。 そのケースの人の手首の脈を診ますと、力の弱い脈に触れます。五臓の腎と肺と脾の脈が弱っています。この弱い脈を元気な力強い脈に改善して、、内臓の働きを高めますと疲れにくい体質に改善するわけです。 |
この五臓六腑を診る脈の見方は、左右の手首の拍動部に、指三本を横に並べて診ます。 専門的には示指を「寸(すん)」、中指を「関(かん)」、薬指を「尺(しゃく)」と呼びます。左右6本の指で五臓六腑の衰えや亢進を診ます。また、五臓六腑の各バランスも診ます。 |
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● | この五臓六腑、左右の手首の六本の脈所がバランスよくしなやかで力強い脈の人は、生命力、回復力の強い身体です。 病気や痛み、諸症状を治す力、治癒力が身体に旺盛に積極的にある状態を脈に現しています。また、内臓の働きが活発であることを示します。 さらに、老化しにくい身体の人は、この脈が元気で理想的な健康脈であるということです。 |
脈の拍動を診ることによって病気の原因を知る。そして、治療法を知ることが出来ます。
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専門的には、24の脈の基本パターンがあります。つまり、24の違う脈の打ち方があるわけです。
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ここでは、24脈からさらに絞り込み、6脈の基本パターンの脈についてご説明します。
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6脈(浮・沈・数・遅・虚・実)の基本脈について、【臨床の目】と【技術の目】に加えて、具体的な治療法、技術面をご説明します。
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脈が皮膚の表面で拍動を感じる脈を「浮脈(ふみゃく)」といいます。
脈が浮いていることは病が表面にあり、浅い病位を意味します。 |
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【技術の目】 |
この浮脈の時は、病が皮膚の表面の浅い所にあり、治療目標は鍼を浅く打つ(5ミリ前後)のが基本です。浅く打つ治療法を加えると効果ありますが、反対に深く打ってしまうと効果的ではありません。
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この浮脈の時は、体内に風邪(かぜ)が入り込んでいたり、浮にして力がないときは、身体の芯が弱っている状態、慢性過労で疲れが抜けない状態です。
(脈診・鍼専門では陽病・陽症を意味します)この浮脈を治療によって中位に改善することが目的です。
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次に、浮脈の反対にあたる「沈脈(ちんみゃく)」についてご説明します。
脈が皮膚より深い骨の近くで拍動を感じる脈を「沈脈」といいます。 脈が沈んで深いところで拍動しているという意味です。 |
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【技術の目】 |
この沈脈の時は、病が深い所にあり、治療目標は鍼をやや深く打つのが基本です。
深めに打つ治療を加えると効果があります。その反対に浅く打ってしまうと効果的ではありません。 |
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この沈脈の時は、体内に寒邪(かんじゃ)冷えが入り込んで病気の原因になります。気が沈み込み、痛みがあるときにこの脈を現します。(脈診・鍼専門では陰病・陰症を意味します)
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【臨床の目】 |
脈診流の鍼治療は、患者さんの脈の「質」(気)によって、鍼を浅く打ったり深く打ったりと、微妙にその人の体質、脈の状態によって変化させながら、病気を治したり、痛みを取り去っていきます。
それは、体内にある熱や冷えを取り去ることが目的です。さらに、陰気(深い組織)と陽気(浅い組織)を調和させることによって、病気や痛みを治すわけです。 |
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【技術上のポイント】
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臨床上で、沈脈だからストレートに深めに鍼を打つだけのケースは少ない。現代人の多くは、末梢循環が低下しているケースが多くあります。つまり、陽気不足状態です。
従って、表面の浅い所(陽気)を元気(補う・強化)にして、その陽気を陰気(深い所)に「もたらす」(気エネルギーを注ぐ)テクニックが極めて重要な技術と考えます。 |
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この対象は、痛みに敏感な体質、過敏性体質、低血圧症、冷え性、食欲不振、疲れやすいなど漢方の虚証体質に効果的な技術です。
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脈が速い、心拍数が多い、数多く拍動を感じる脈を「数脈(さくみゃく)」といいます。
(心拍数では80〜110回と多い拍動。) |
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この数脈の時は、熱を意味して、陽(よう)である浮にして数は表熱として、風邪の初期にこの脈を現します。この表熱の反対が裏熱です。沈にして数は、裏熱です。
慢性的に風邪を悪化させると熱が内にこもります。 |
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自律神経系のアンバランスから心拍数が90〜110程度に増加して、異常亢進状態が続くケースが近年多くみられます。
自覚的には、肩こり、不眠、だるさ、胃腸障害、頭痛、めまい、背中の痛みで心拍数は常に90〜110と多い。 鍼治療では鬱熱(うつねつ)、この自律神経の異常亢進による症状は、脈診流の鍼術が最も有効とする病証です。 |
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【技術の目】 |
脈診で数脈の時の手法は、基本的には浅く、早く打ちます。素早く鍼を入れて、素早く抜き去ることがポイントです。鍼の太さは0.18ミリの細い鍼。
この手法によって鬱熱を取り去ることが可能となります。また、現代医学でいう炎症症状を治療するときもこの技術は大変有効となります。 |
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たとえば、風邪が入り微熱が体内にこもり、汗が出ないでなかなか微熱が下がらない、関節の痛み、腫れ、炎症が取れないなどのケースの時に鍼治療で脈力を整え、後頭部、背中全体に接触鍼(せっしょくしん)(皮膚に当てる程度の鍼術)や、0.18ミリの細い鍼を深さ5ミリ程度に浅く素早く打ちますと、首筋や背中から発汗して、鬱熱や微熱が取れます。
この手法は、脈診・鍼専門独自の熱を取り去る効果的な手法です。 |
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「接触鍼(せっしょくしん)」という鍼の手法があります。この手法は鍼を刺さないで、皮膚の表面に銀の鍼を当てる程度で効果をあげます。
接触鍼は極めて高度な技術です。特にこの手法が最適な身体には最も効果的です。
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脈が遅い、心拍数が少なく拍動を感じる脈を「遅脈(ちみゃく)」といいます。
(心拍数はで67〜50回前後と遅い拍動。) |
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この遅い脈は、漢方では「腎虚(じんきょ)」を意味して、腰や足や背中全体の深い所の循環が衰えていることを示します。さらに、体内に”冷え”が入って冷えが病気の引き金になります。
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漢方的には「陽虚裏寒(ようきょりかん)」といい、皮膚の表面が弱り、体の芯に冷えが入って症状や痛み、シビレ感などを現します。
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【技術の目】 |
この遅い脈の時の手法は、基本的には、鍼の動き、抜き刺しのストロークはゆっくりと動かすことです。つまり、気の流れが遅いときは鍼もゆっくり、深めに陰気は流れます。
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技術的には高度ですが、まず、表面の陽気を補う、元気にする治療を行って、その後に陰気の深い所に寒邪を取り除く治療法がベストです。
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脈診で脈が遅いときは、「血虚(けつきょ)」、血の不足と冷えが入っています。この時は、「温灸」「知熱灸」が極めて有効です。お灸や温灸が合うケースです。
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脈の拍動に力がない脈、脈を取ろうとしても拍動がハッキリと感じられない脈を「虚脈(きょみゃく)」といいます。(脈に力がなく、柔らかに感じる脈。)
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漢方ではこの虚脈は「気血虚損(きけつきょそん)」といいます。これは、体の芯が衰えて、回復力や抵抗力、免疫力の低下している状態を示します。
つまり、なかなか病気が治らない、お薬を飲んでいるときは良いが、止めると再発する。度々風邪を引く、無理をすると痛み、炎症、腫れが出て来る、疲れが取れない、眠りが浅く夢をよく見る、膝、腰、手首、肩の関節の痛みが取れないなど、この虚脈の時は痛みや炎症を取り去る力が体に少ない状態です。 鍼治療で虚脈から実脈(元気のある脈で気血がスムーズに流れている脈)に改善する治療を行うと効果的です。 |
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【技術の目】 | この虚脈は、体力、気力が不足している状態で刺激に敏感であり、強い刺激を体が受け入れない身体です。
従って、鍼治療では極めて細い鍼(0.18ミリ)の銀鍼を用いて、深さは極めて浅いデリケートな技術が有効となります。接触鍼の治療法です。 |
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伝統的な脈診流鍼術は、この虚脈のケースに大変有効です。手足が冷え、疲れが抜けない、食欲がない、背中が凝る、頭が重くめまい、下痢、睡眠が浅いなどの症状は、虚脈の虚証の症状です。この様なケースの時、効果を発揮します。 |
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【臨床の目】 |
脈に応じて鍼の刺激量を加減するということは、その人の体質、体力に応じた刺激、その人のツボが必要としている刺激量であることが最も大切なことです。
生体に必要としている刺激、漢方的には補法(ほほう)と瀉法(しゃほう)の手法によって調和を計ります。 |
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脈診で虚脈は虚証体質です。この虚脈には「接触鍼の治療法」。(皮膚に鍼を当てる程度の軽い治療ですが、虚脈には最も効果のある手法です。)
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脈の拍動に力がある脈、脈がハッキリ触れて力強く大きい脈を「実脈(じつみゃく)」といいます。
(脈に力があって硬く感じる脈。) |
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この実脈は体力、気力があり、無理ができる身体です。そのため、無理や頑張りの蓄積、過労によって病気が発生しやすい傾向にあります。 たとえば、血圧で例えると、高血圧症、動脈硬化症などのケースが実脈を現します。その反対の低血圧症は虚脈を現します。 |
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オーバーワークによる不整脈、動悸、めまい、突然の激しい痛み発生のケース。 |
【技術の目】 | 脈に力があり大きい脈の体質のケースは、比較的太い鍼で、強めの刺激の治療を行ってよい効果をあげることが可能です。 身体に体力があり脈力がある時は、強めの刺激、瀉法(しゃほう)(漢方では邪気を取り去る)を優先させることが、生体を妨害する邪気を取り除く治療として効果的となります。 |
● | 東洋の脈診は陰脈と陽脈からなり、その陰陽の脈のベースは、中脈(ちゅうみゃく)からなっています。 脈診流・鍼術の治療で重要なポイントは、この中脈のベースをしなやかで力強い元気な脈に改善することなのです。 さらに、陰陽を調和させる手法の鍼術を施すと多くの効果を発揮します。また、この陰陽の脈が元気な脈は、末梢循環がものすごく良好な状態であり、新陳代謝も活発です。 |
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東洋医学(脈診・鍼専門)は、その人の体質、その人のツボが必要としている刺激に応じて微妙に鍼を打つわけです。その結果、生体の回復力、治癒力のメカニズムが効果的に働きやすい身体にするのです。
当院の角貝釀計の目指すところはその人の身体です。その人のエネルギーを循環させてあげることなのです。循環すれば、調和作用が働きます。力強い生命力、回復力が高まります。 東洋医学(漢方)には、一見基準がないように思われています。しかし、見えない中に、実は明確な基準があります。その基準を感覚的に”つかむ”ことが難しいわけです。それは、経験によって磨き上げることが最も大切です。それによって、明確な治療法が把握できるわけです。 |
最後は、人間の持っている”気持ちの力”が健康には重要です。それは、健康で元気な身体でいたい。健康で元気に働ける身体でいたい。健康で美しい身体、若い身体でいたい。無理の出来る身体、気持ちのいい身体でいたいと思う、気持ちの力です。
自分が絶対に”やるんだと思わないと”目標の結果は出ません。人間の持っている、気持ちの力、明確に目標を設定し努力する事が健康には大切です。 もしも身体が壊れたり、突然、症状が発生した時、ダメージを受けてしまったことは仕方ない。 最善を尽くして治すこと。 また、それ以上にダメージを受けないように最善を尽くして身体を守ること、予防することです。 |
最近の脈診の診療 |
強い肩こりで首の前側から肩の真上にかけて筋肉の強いこり感や痛みがつらいを訴え来院したケースです。
また、動悸を感じたり、時にめまいや午後になると身体がだるくなり仕事に集中できないケースです。 そこで、手首の脈を脈診で診断しますと、脈は細く、緊張して病脈で脈拍数が 110B/min 回と異常に多く打つ病的な頻脈です。私が臨床で気づくことは、最近は心臓からしぼり出す力が衰えて、全身に充分血液が供給されないために、強い肩こりやめまい、動悸、疲れがなかなか取れないと訴えるケースが多く見られることです。 当院では、心臓からしぼり出す力(駆出力)の低下が原因して全身にダメージを受けてしまっていると考えます。この様なケースに脈診・鍼治療で心臓からしぼり出す力を強めて、血の滞りを改善する手法で効果をあげます。 |
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