▼足がつる・アキレス腱の痛みに効くツボ
足のふくらはぎが攣(つ)る、だるい、むくみの症状で悩んでいる人が増えている。
「夜、脚の筋肉を伸ばしたら、ふくらはぎが攣ってしまう。」
「朝、足のふくらはぎに”こむらがえり”を起こして痛みで目覚めてしまう。」
また、「階段を降りる時に、足首の痛み、アキレス腱が痛む。」、「アキレス腱からふくらはぎにかけてだるい、筋肉がパンパンに張って痛い。」などのケースで悩む人も多い。
そこで、アキレス腱、こむらの部位について詳しくご説明します。
かかと(ヒール)の上の後背部にある強い腱をアキレス腱といいます。(ギリシャ神話の英雄、アキレスからきた名です。)(図1)
この強い腱の上に「ヒラメ筋」、「腓腹筋」(ひふくきん)があります。(図1)
この腓腹筋を”こむら”と呼びます。ですから、一般的にいう”こむらがえり”とは、この腓腹筋部のけい攣、攣りをいいます。
このアキレス腱やふくらはぎのだるさ、疲れ、むくみや痛みを自分で解消するツボと方法をご紹介します。
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▼ツボの位置と効能
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[1]
腓腹筋の下で、アキレス腱を指で押し上げて行くと腓腹筋の内側部と外側部の割れ目で筋に移行するところに【承山】(しょうざん)というツボがあります。(図1)
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[効能]
こむらがえり、ふくらはぎのけい攣、ふくらはぎのだるさ、疲れ、むくみを取る効果があるツボです。
また、腰痛やギックリ腰の症状が出る前に、このふくらはぎの部分がパンパンに筋肉が張った状態になります。
この時点で筋肉の緊張を取り去ってあげると腰痛症の予防になります。(腰痛予防のチェックポイントになります。)
さらに、鍼専門では、この【承山】のツボで「痔の痛み」や「便秘」に使います。
また、腰の骨には異常がない、しかし腰が重く、腰痛が辛い症状によく効くツボです。
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[2]
【承山】のツボより上方、ふくらはぎの最も盛り上がっている所の中央に【承筋】(しょうきん)というツボがあります。(図1)
”こむらがえり”とは、この部分の筋肉が攣る、けい攣するわけです。
筋肉が硬く、コチコチに緊張して、激しく痛みが発生します。
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[効能]
ふくらはぎのだるさ、筋肉の痛みに効きます。
腰痛症で腰から膝の裏にかけての痛みやだるさによく効くツボです。膝痛にも効きます。特に、腰から下半身にかけて、ナマリでも入っている様な重くだるい症状にも、ふくらはぎの血流をよくすると、腰からお尻が軽く楽になります。
鍼専門では、ふくらはぎは、大変敏感な所ですので、浅く細い鍼を用います。深さは、3〜5ミリ程度、鍼の太さは、0.18ミリの細い鍼を使います。
ふくらはぎは、弱い刺激で充分効果があるツボです。(鍼術のポイント)
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[3]
足の内くるぶしより上方(5寸)約15センチで、アキレス腱の前縁に【築賓】(ちくひん)というツボがあります。(図1)
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[効能]
アキレス腱の痛み、足のだるさ、足のむくみに効果的です。
さらに、この【築賓】のツボは、不思議な反応を示すツボで、「内臓の弱り」、特に小腸の弱りや大腸の弱りがあると、このツボにコリ・コリと硬く緊張して強く押すと激しく痛みが現れます。
たとえば、下痢がなかなか止まらない症状、下腹部の冷え、消化不良、解毒作用のあるツボです。
「肝臓や内臓の解毒作用」が低下すると、このツボにコリ・コリと硬く、凝りが現れます。これは病的な反応(ツボ)です。
このコリを取り去って血流をよくしてあげると、内臓が活発に働きだす力となります。
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[4]
内くるぶしの上3寸(約9センチ)、脛骨の内側をむこうずねに上がった所に【三陰交】(さんいんこう)という、有名なツボがあります。
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[効能]
体が重く、身冷え、足腰の冷え、手足のしびれ、生理不順、めまい、お腹が減っているのに食べられない等の症状は鍼専門では”腎虚(じんきょ)の証(しょう)”といいます。
この【三陰交】のツボは、この症状によく効くツボです。
特に女性の生理不順、足のむくみ、だるさを改善するのに大変効果的なツボです。
女性の方は、この【三陰交】のツボを是非、覚えてください。
たとえば、生理日の一週間前より、このツボを”もみ”、刺激して血流をよくしておくと、生理が軽く、体調が落ちにくい体質に改善されます。
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▼ツボの押し方 |
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[Step1]
最初に、左足のふくらはぎの下、肉の割れ目にある【承山】に、左右の両手の親指を揃えてツボを押します。(図2)
このツボを約1分間、もみ込む様にゆっくり丁寧に、筋肉の緊張、コリを取り去り、血流をよくします。
この時、筋肉の深い所に、コリ・コリと硬く緊張があるときは、1分間は強くもみ、さらにもう一度1分間は軽く摩擦する様に弱い刺激を与えます。
この深い所の筋肉に刺激を与えて、後に浅い所の筋肉に刺激を与えると、芯から血流がよくなり、効果がよりよくなります。
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[Step2]
次に、【承山】のツボより上、ふくらはぎの真ん中にある【承筋】のツボも先程と同じ要領で、約1分間ツボを押して、もみほぐしてください。(図2)
押していて気持ちよく、芯にコリ・コリと硬く触れるときは、多めに行ってもよいです。
この時、ふくらはぎの真ん中より、膝の真裏の中央に【委中】(いちゅう)というツボがあります。このツボも、同じ様にゆっくりと”もみ”、血流をよくすると、よいです。
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[Step3]
さらに、ふくらはぎの下の方の【築賓】のツボを親指の腹で、やや強く、約1分間”もみ”血流をよくします。
このツボは、胃腸が弱っていたり、肝臓の機能が低下して解毒作用が落ちていたり、冷えが身体に入り、内臓全体の働きが弱ってくると、このツボに、病的反応(ツボ)として、コリ・コリと硬く、緊張して、押すと強い痛みを現します。
鍼専門では、このツボに、0.18ミリの鍼を5〜8ミリ程度入れて、ゆっくりとツボにあて、そこで2〜3ミリの幅で鍼先を動かして、ツボに刺激を与えて血流をよくします。(この術は、鍼術のポイントです。)
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[Step4]
最後に、内くるぶしの上から指3本分に【三陰交】を親指の腹で、やや強めに指を押し込む感じでツボを刺激してください。
約1分間に、50回程度を目安にキュー・キューとツボを押します。
そして、さらに親指の腹で”の”の字を書くように軽く1分間”もみ”血行をよくしてください。
この4ヶ所のツボ以外に、アキレス腱に沿って、かかとまで丁寧に筋肉の緊張を取り去って、血流をよくしてもよいです。より効果的になります。
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▼角貝釀計・ワンポイント・アドバイス
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現代医学的には、足がよく攣る症状のバックには、肝臓機能の低下や糖尿病などの因子が引き金になっているケースも考えられます。
また、食事でのカルシウムの不足、マグネシウム、ミネラルの不足も考えられます。
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ふくらはぎの筋肉の収縮は、全身の血流と関係しています。
”ふくらはぎ”の筋肉が活発に収縮と拡張を繰り返すと、足の血液が心臓に力強く押し返すポンプ作用になります。
これを専門的には、「ミルキングアクション」(Milking action)といいます。
従って、ふくらはぎの筋肉の血流をよくすると、全身の血流がよくなり、胃腸の働きや内臓が元気に活発になります。
また、胃腸や内臓の働きが弱ってくると、ふくらはぎの筋肉がパンパンに張って、凝ってきます。(チェックポイント)
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この【承山】、【承筋】、【築賓】、【三陰交】のツボは、女性のむくみを取る価値(Merit)のあるツボです。
お風呂上がりや寝る前に、毎日このツボの血流をよくすると足のむくみ、疲れが早く取れ、スリムな足に改善します。
鍼専門的には、”腎”(じん)、”脾”(ひ)、”膀胱”(ぼうこう)の働きを高めるツボです。
この3つの働きが弱くなると、むくみやすい体質になります。
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フットワーク(Foot work)は、アキレス腱にあります。
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アキレス腱の痛みや足首の痛みがなかなか取れないケースに鍼術と知熱灸は大変効果的です。
鍼術のポイントは、アキレス腱の真上に施術を行うのではなく、アキレス腱の側面(side)に沿って鍼を打つことです。
鍼の太さは0.18ミリの細い鍼を、深さ5ミリで約10分間、置鍼(鍼を入れ置く)術を行います。
その後に、アキレス腱の側面に沿って知熱灸(温かくなったら取り去ってしまう方法)を両側に左右で8ヶ所(8個〜10個)行います。
腱や筋膜の内側に「こもっている炎症」を取り去るのに鍼術や知熱灸は優れた力、効果があります。
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足首の捻挫がなかなか治らない、足首の腫れがなかなか取れないケースの時にも鍼術と知熱灸は有効です。
鍼術と灸術のポイントは、内くるぶしと外くるぶしのはれている周囲に、0.18ミリの細い鍼を深さ3ミリ程度打って、10分間置鍼術を行います。この時、太い鍼を使用すると炎症が消失しにくくなります。
そして、内くるぶしと外くるぶしのはれている所、かかとの上、アキレス腱の両側に知熱灸を各2ヶ所、合計で15〜20ヶ所程度行います。
内くるぶしと外くるぶしの深い所にある炎症を取り去ることが目標です。
鍼専門では、この方法を用いますが市販の千年灸などでもよいです。
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”ふくらはぎ”からアキレス腱にかけて、筋肉が硬く、パンパンに凝っている状態は足の疲れだけではなく、胃腸の弱りや内臓全体の弱っている証拠です。
また、身体の芯の疲労や回復力が低下している証(あかし)です。
ふくらはぎは身体の生命力、元気が現れる場所です。
ふくらはぎの筋肉の弾力性をチェックしましょう。
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