▼疲れやすい体質・症状の方に効くツボ
最近は「疲れやすい体質」の人が増えている。
病気ではないのに”だるい”、”疲れが抜けない症状”、”朝から身体の芯が重い症状”。
確かに疲れは”まだ”病気ではありません。しかし、慢性疲労・過労・蓄積疲労・ストレス性疲労が病気を導くことも少なくありません。
古来より東洋医学(鍼灸医学)には、「未病を治す」という考え方があります。
この「未病(みびょう)」とは、今は病気ではないけど、そのまま放っておくといずれ病気になるということです。そういう病気になる前に”治してしまおう”ということです。
この「未病」の状態であるかどうかは「脈診」で判定することが可能です。
左右の手首の「脈の打ち方」の状態で判定します。
例えば、私は、診断します。本人はやる気満々でも、脈がバテている(脈が拡張して常に心拍数が95〜110回)になっている時は、身体の芯は疲れが抜けない状態です。
また、脈の拍動が触れにくい、脈の拍動が弱く感じる時は「虚脈」と言います。 これは、人の身体が本来持っている回復力や自然治癒力が低下している証拠です。
ということはつまり、全身に充分に理想的な血液が供給されていない事を手首の脈に、表現されてる理由です。
そこで、当院ではお脈を拝見して、拡張している血管を改善したり、力強い元気な拍動の脈に鍼治療で改善する独自の技術です。疲れに効くツボを刺激して末梢循環や毛細血流、免疫力を高め自然治癒力を増し、病気になる前に改善します。
自分で手軽にできる疲労回復に効くツボをあなたにご紹介します。
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▼ツボ名と部位
[1] 親指の付け根の膨らみの中央に【魚際】(ぎょさい)と言うツボがあります。(図1)
このツボは、肺経(はいけい)と言う経絡(けいらく)上にあり、呼吸器系統のツボです。
このツボを刺激しますと、呼吸が深くなり、胸や肩の血流をよくして、酸素を沢山取り込む力を強める働きがあります。
また、中国では、この魚際のツボを「第二の心臓」と考えます。
このツボを刺激すると、心臓のポンプ力をサポートする働きがあります。
たとえば、ハードな仕事の後や疲労で動くと息切れがする症状の時。胸や肩の芯が凝って辛い時。目がショボショボして視力が落ちた時。かぜがなかなか治らない時。魄気、元気が前に出ない時、などに活用出来る優れたツボです。
また、ストレスを感じた時、脳の疲れを取る効果があります。
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▼押し方
[Step1] 最初に、右手の親指の付け根にある【魚際】(図1)のツボを左手の親指の腹で、ゆっくり、力強く、もみ込む様に、約1分間、丁寧にグリ・グリと手のひらの筋をほぐす様に行って下さい。
そして、左手の親指の【魚際】のツボも同じ様に行って下さい。
●この時、押して痛みがある人は、ゆっくり、丁寧に2分から3分間多目に行って、血流をよくして下さい。
また、気持ちよい時は、多目に行ってもより効果的です。あなたの症状、によって多目に。
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[2] 肘を曲げると肘の外側に横絞(しわ)が出来ます。その外端に【曲池】(きょくち)というツボがあります。(図2)
このツボは、大腸経と言う経絡で大腸と関係したり、腕、肩、胸、顔面の肌にも深く関係しているツボです。
たとえば、慢性疲労や過労での頭重、めまい症状、夏の肌荒れ、肌のトラブル、肘から腕、肩のだるさ症状、痛み、四十肩痛に効果的なツボです。
肘の外側の筋肉のこり、血流を高めますと、首のこり、首の痛み、肩こり、痛みが楽になります。
当院の鍼治療では、この曲池のツボで、脳の疲れ、ストレス性の疲労、顔面の肌荒れを取ってスベスベの肌に改善する時に多く治療します。
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▼押し方
[Step2] 右肘の外側にある【曲池】(図2)のツボを左手の親指の腹で、ゆっくり、力強く、もみ込む様に、約2分間、丁寧にグリ・グリと肘の筋をもみ込む様に行って下さい。この方法で左側も。
●この肘のツボは人によっては押して痛みが強く現れる時があります。その時は、ゆっくり、時間をかけて“もみ”血流をよくして下さい。あなたの症状が強いときは、根気よく。
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[3] お腹のヘソより下3寸(親指以外の指4本分)のところに【関元】(かんげん)と言うツボがあります。(図3)
このツボは、別名[丹田](たんでん)と言います。
丹田とは、東洋医学では、元気が集まるところの意味です。
この丹田の部分に「力がない」、「下腹部に弾力性がない」状態のときは、バテやすい時であり、疲労の回復力の低下している時です。
鍼専門家は、腹診(ふくしん)という診断でこの下腹部の丹田の力、弾力性を診ます。
そして、この丹田が弱っている時は、5〜8ミリ程度、鍼を打ちます。丹田に力、元気を与える鍼術を行います。
スポーツの世界、ビジネスの世界でも共通することは、この丹田、下腹部に“力が入る”、“気持ちを集中”出来るかが大切なポイントです。
下腹部の丹田に、重心を置いて、気持ちを集中させてから全身にエネルギーを分散することが効率のよい動きと判断力になるわけです。
またスタミナ、根気の力は、丹田にあります。
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[4]おヘソの横2寸(親指、人差し指、中指を横にならべて外側に開いたところ)に【天枢】(てんすう)と言うツボがあります。(図3)
このツボは、大腸と深く関係しています。便秘体質の人は、このツボを根気よくもみ刺激しますと改善します。
また、大腸を丈夫に元気にすることが疲れやすい症状、過労を予防するポイントです。
[5] おヘソとみぞおちの中間にと言うツボがあります。(図3)
このツボは、胃の中央に当たります。このツボの真下に、現代医学的には、「太陽神経叢」(たいようしんけいそう)と言う自律神経が走っています。
従って、お腹の真中にあるのツボが硬く緊張したり、血行不良になると、自律神経の失調を起こしやすくなります。
慢性疲労、過労を予防する方法に、胃を元気にすることが大切です。
胃の中央にあるのツボの血行をよくしてあげることが、胃を元気に丈夫にするポイントです。 あなたの胃は緊張して硬くありませんか?あなたのお腹を柔らかい、緊張の取れたお腹に改善して下さい。
[6] 胸の下、みぞおちに【巨闕】(こけつ)と言うツボがあります。(図3)
極度に緊張すると、このみぞおちのあたりがドキドキする感じになります。
それは、このみぞおちの下に自律神経の束(たば)である「太陽神経叢」が走っているからです。
過労状態や疲労困憊(こんぱい)が続くと、このみぞおちが硬く緊張します。このみぞおちの緊張を取ってあげることです。
あなたのお腹は大丈夫ですか? |
▼押し方
[Step3]上を向いて横になり、お腹をリラックスさせて、おヘソの下 【関元】(図3)に両手の人差し指と中指の腹で、ゆっくり、内に押し込み、お腹に圧力を加えます。次に、おヘソの横、右側の 【天枢】、左側の 【天枢】を同じ様に、ゆっくり、内に押し込みます。
●下腹部とヘソの横のツボは、押すと内に硬く、コリコリとした緊張した状態のお腹の人が多くいます。
この緊張をもみほぐす感覚で、毎日血流をよくして下さい。
さらに、 と 【巨闕】(図3)をゆっくり、丁寧にお腹をもみほぐして下さい。お腹は、柔らかく、弾力性のあるお腹がベストです。
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[7] 下腿の外側、ひざの下約9センチ、むこうずねのすぐ外側に【足三里】(あしさんり)と言うツボがあります。(図4)
この足三里は、昔から有名なツボで松尾芭蕉翁も旅をするには必ず足三里に灸をして出たという記録も「奥の細道」にあるところです。
足三里のツボは、足のだるさ、むくみ、胃痛、消化不良、体調維持に効果があります。
●慢性疲労・疲労は足の外側に現れます。
疲れが取れない時、疲労が回復しない時は、足の外側が硬く、パンパンに張っています。この足の外側の疲れ、筋肉のこり、血流をよくすると楽になります。
▼押し方
[Step4]足の膝下、外側にある【足三里】(図4)右側から行います。右の三里に右手の人差し指の指先の腹を当て、そこで、ツボを押しながら、“の”の字を書く様に、クリ・クリと刺激を加え、約1分間、血流をよくして下さい。
左右両側のツボを行って下さい。
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[8] 足三里は下腿の外側ですが、膝の内側で三里のツボのラインより約3センチ下方に【陰陵泉】(いんりょうせん)と言うツボがあります。(図5)
このツボは、お腹の冷え症状、胃腸の弱り、食欲不振症状、下痢症状、膝が痛く、足のむくみ症状、などに効果があります。
●胃腸の弱りは、この膝の下、内側に現れます。
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▼押し方
[Step5] 足の膝下、内側にある【陰陵泉】(図5)右側から行います。
右側の陰陵泉のツボに右手の親指を当て、親指の腹で、やや強目にもみ込む様に押して下さい。
●胃腸が弱っている人は、強く痛みを感じます。その時は、多目に行ってよいです。
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[9] 土踏まずの中央に【総健点】(そうけんてん)と言うツボがあります。(図6)
このツボは、角貝が25年の臨床から研究して実践しているツボです。
身体に疲労が蓄積して来ると、土踏まずが腫れたり、ブヨブヨしたり、硬くなり強く押すと強い痛みを感じる様になります。
この土踏まずの血行をよくすると、心臓に帰る血液が力強くなる作用があります。さらに、鍼専門的には、“腎”の気(機能)が低下している状態を腎虚(じんきょ)といいます。足の土踏ますの血流をよくすると、腎の衰えに効果があります。
たとえば、「老化は足から」といいます。
あなたの土踏まずは大丈夫ですか。
例えば、生理前に土踏まずが腫れます。この腫れを取ってあげると腰の痛み、腰のだるさ、が楽になります。また、首のこり、肩こり、気持ちが落ち込んだ時に、この土踏まずをゆっくり刺激して下さい。
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▼押し方
[Step6] 土踏まずの中央にある【総健点】(図6)右から行います。
両手の親指を揃えて、ゆっくり、力強く、土踏まずを押します。
その後、げんこつで叩いて刺激してもよいです。
または、竹踏みの器具を使ったり、千年灸などの方法で血流をよくしてもよいです。
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▼角貝釀計・ワンポイント・アドバイス
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1.
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疲れやすい体質の人は、水分補給にはできる限り「温かい」「ホット」の飲み物を取ってください。「温かい」ものは、身体の冷えや小腸の働きを元気にして、疲れやすい体質を改善する効果があります。
小腸の働きは「第二の心臓」と考えます。
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2.
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睡眠に入る時間帯が大切です。その時間は夜の10時(22時)〜12時(24時)の間に就寝、身体を横にすることです。
この時間帯に就寝すると”腎”(生命力・回復力)の働きを強めます。スタミナのある身体になるために実行してください。
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3.
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夜遅い食事はできる限り「消化の良い物」を「軽く」してください。そして、朝と昼はボリュームのある食事をしてみてください。そして、夜9時以後は控えることです。
これはダイエットで下腹部の脂肪を落とすのに良い方法です。
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4.
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オフィスや会議の時、プレゼンテーションの時、下腹部のおへそのした約9センチの「丹田(たんでん)」を意識して、下腹部をヘコましながら、息を吐いてください。
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5.
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創造力(creativity)、生命力(vitality)を「丹田」でコントロールする習慣をつけてみてください。
人間の身体は「丹田」に元気(energy)、気力(spirit)をコントロールするメカニズムになっております。「丹田」(関元)のツボを強化しましょう。
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6.
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鍼専門的には、背中全体に「兪穴(ゆけつ)」というツボが背中・腰まで沢山並んであります。この背中・腰のツボには、5〜8ミリ程度の浅い鍼で、太さは0.18ミリの鍼を使用します。
素速く鍼を打ち(5ミリ)、そして、素速く鍼を抜く術、鍼専門的には「単刺術」を言います。
この鍼術を背中全体に丁寧に行うと、疲労困憊、疲労回復、疲れやすい体質・症状の改善に有効です。
鍼の技術には、痛みを取る鍼の打ち方、筋肉の凝りを取る鍼の打ち方などの鍼術があります。また、身体の芯の疲れを取り去る独自の鍼の打ち方があります。
鍼専門家は迅速に判断して、あなたの体質にあった手法(technique)を用います。
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■あなたの背中と腰は生命力
人間のカラダは背中が凝ると疲れやすい体質になります。
首のこりや肩こり、背中のこりや腰のこり、お尻の筋肉のこりが取れると、全身が軽くなり、カラダがポカポカと温かくなり、疲れにくい体質になります。
肩こりや背中の筋肉のこりは、内臓の弱りや自律神経と深く関係しています。
自律神経が過度に緊張すると、首のこり、肩こり、背中のこり症状が現れ、痛みが発生します。
また、胃腸症状や内臓の働きも低下してしまいます。
大切なことは、背中や腰の末梢循環を良くして筋肉が凝りにくい体質、自律神経が過度に緊張しない身体に、血流レベルを改善することです。
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当院、鍼専門の治療では、背中から腰まで円鍼(えんしん)や接触鍼(せっしょくしん)などの手法で皮膚の表面の血流、毛細循環や皮下組織3ミリ〜5ミリ程度の末梢循環の血流を改善することが大事なポイントです。
ということはつまり、この手法によって、無理の出来る身体、元気で若い身体に改善する効果が期待出来ます。
元気なカラダ、ポカポカ温かいカラダは、肩、背中、腰、お尻の血流が良いレベルです。
つまり、元気な身体、回復力の高い身体に改善する治療の秘訣は、ここにポイントがあります。
生命力(Vitality)は、背中、腰にあります。また、すっかり疲労困憊(こんぱい)したときは、背中と腰の血流を良くすることです。背中のこりを取り去ってあげることです。
現代はストレスや過労が重なることが原因して、身体の芯、身体の深い所に筋肉のこり、疲労が蓄積して血流障害を招いています。
この身体の深い所の疲労、身体の芯からの疲労を取り去ってあげることが治療では、極めて重要です。私の強調したいポイントはここです。
ということは、つまり、身体が楽になり、病気にかかりにくい身体になるからです。
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